abstract | 過去20年に及ぶ日本のモバイル産業の成功要因を探るため、iモード開発者の夏野剛氏に対し2011年3月に約2時間のインタビューを実施した。この調査は、成功要因を特定し検討することで、モバイル・エコシステムの調査モデルを構築することを意図したものである。インタビューデータをグラウンデッドセオリーアプローチによって分析した結果、初期の段階でiモードと決済システムに対し、携帯電話会社NTTドコモによる明確で莫大な投資がなされたこと、そのためにエコシステムを形成する携帯電話メーカーやコンテンツプロバイダー等の関連企業がリスクを取ることなくモバイル産業に参入することを可能にしたことが明らかとなった。夏野氏によって「協働を実現するバランスを保持する複数の役割の集合体」と定義されるビジネス・エコシステムが構築された。日本のモバイル産業の成功に影響を与えた主要因として「リスクを取る存在」がある。 |
keywords | モバイル産業,ビジネス・エコシステム,iモード |