abstract | マーケティングの諸活動の標準化(standardization)と適応化(adaptation)の問題は、経営学における伝統的な問題の1つである(例えば、Buzzell, 1968; Levitt, 1983)。本稿は、ソフトウェア業界のこの問題(Cusumano, 2004)を再検討し、新たな理論的問題の所在を探索する。
本稿は、探索研究に適したYin(1994)の示す質的研究の方法としての「ケーススタディ」を採用する。対象は、セールスフォース・ドットコムのPaaSである「Force.com」であり、インタビュー等を通じた質的データをもとに、ケース分析を行う。
結論として、同社のビジネスシステムのスケーラビリティとカスタマイゼーションを両立させる革新性を発見物として提示するとともに、Cusumano(2004)の分析枠組みに対する理論的な見直しを提起する点に理論的な含意を示す。
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keywords | ビジネスシステム・イノベーション,標準化・適応化,マルチテナント |