自律分散システムを応用した危機管理政策
-東日本大震災の教訓-

松本 保美1)

1) 早稲田大学

Abstract  本論では、日本人がリーダーシップに欠け危機管理が出来ない理由を、日本の伝統的思考から論証する。その際、日本人は目前の具体的問題の解決には極めて優れた能力を有することが判明する。この二つの特徴をうまく組み合わせると、大災害からでも短時間で復旧できる社会を創れる。中央政府と被災地の地方政府の間には情報の非対称性が生起しているので、復旧の主導権は現場の地方政府が持ち、中央政府はサポート役に回るのがよい。政治権力構造を柔軟に入れ替えるこの社会・政治体制の確立には、今日産業界で広く利用されている自律分散システムのアイデアを用いる。この方法は、特に、「大災害発生直後にとる最初の政策」として有効である。
Keywords 危機管理政策,自律分散システム,政治権力構造の逆転
前に戻る